ナイツ・テイルが楽しかった

ナイツテイルに行ってきました~~!!!

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初演時から気になっていた演目。博多座公演が決まった時、どうしようかな~行きたいけどC席ないのか諸々行き過ぎてお金ないしな……って言ってたら堂本光一さんが好きな先輩に「チケ代半分出すから見てほしい!!!」って言われて「いいんですか!?!?」になった。ありがたすぎる……。ちなみにeternal SHOCKの映画に連れていってもらったときは映画のパンフをいただいた。
この話をしたところ私が周囲に妖怪コミカライズTRUMP配りしてることや四季のギフトカード渡しまくってることを知っている友人が類友じゃん……ていって若干びびっていた。

 

以下感想中の歌詞やらセリフやらはすべてザックリした記憶によるものなのでご容赦ください!

 

さすがにメンツがメンツなのでちょこちょこ感想は目にしてたんだけど、だいたいみんなギリシャ悲劇の皮をかぶったハッピーミュージカル」とか「おバカ系×クール系かと思いきやどっちもバカ」とかばっかで逆に楽しみだった。話をなんとなく知っていたから原作の騎士物語はザックリ読んだことがあると思い込んでいたんですが、これちょっとした勘違いで、よくよく確認したら私が読んだことがあったのはチョーサーの『騎士の話(カンタベリー物語)』でした。シェイクスピアがこれをもとに翻案したやつなので本ミュージカルの原作の原作に当たる作品。しかも読んだの二年前とかだし原語で読んだのでだいぶ記憶が曖昧。まあ原作とラスト全然違うらしいからそれはあんま気にしないどこ~と思いました。ちなみに読んだときの感想は自分がなんも知らんとこで自分を取り合って喧嘩はじめてて挙句片方死ぬの姫的に迷惑すぎる……でした。ひでえ感想だな。

 

この感想そんなに間違ってなかったんじゃん?という所感。
ギリシャ悲劇の皮を被ったハッピーミュージカル」って聞いてたけど序盤から割とハッピーミュージカルなの隠す気なくて笑いました。初演見てる先輩曰く初演はもう少し荘厳な感じで始まってたらしいですね。
主演二人にスポットが当たった時に拍手がおこり、オッ宝塚で予習したところだ!!となりました(違う)。
『騎士物語』はおそらくなにかの音楽番組で聞いたことがあり馴染みのあるナンバー。この歌の「願う生き残れることを」って歌詞が好きです。それはこっちのセリフだ。舞台オタク、推しに出会ってから弔うまでおよそ二時間ということがままあるので毎度たのむ、生き残ってくれよという気持ちでいる。

 

最初の流れのシーシアスがヒポリタから愛されたくてヒポリタに願われるまま戦争を仕掛ける、というのは先に知っておけばよかったです。あらすじを読もう。後から知ってなるほどね~となりました。これを知ってると最初の方の話がかなり入ってきやすくなる。
アーサイトとパラモンが収監されれてから話が始まると思っていたので、収監される前の流れの情報量が思ったよりも多くてちょっとびっくりした。
あとはじまってすぐもうひとつ驚いたのは、シェイクスピアのレトリックがセリフに割とそのまま残っていること。ストプレだとレトリック残された翻訳そのまんまやってるのは割とよく見るけどミュージカルだと珍しい気がする。私はあのゴテゴテに飾ってあるまどろこしい言い回しが大好きなのでセリフを聞いていてとっても楽しかったです。ちょこちょこ理解が追い付かないところがあったけど。さすがにあのテンポでセリフの意味を100パーセント理解しながらみるのは難しく、感覚的には語劇見てる気分でした。セリフが耳に入ってから意味を理解するのにワンテンポずれがある感じ。『騎士物語』からこのセリフ回しに入るのが面白いですね。あの冒頭の歌詞は、要は「今からシェイクスピア語でしゃべるよ~~!!よろしくね~~~!!!」てことですね(そうかな?)。
ただ、歌になると急に現代語になるのはちょっと違和感あったかも……。翻訳の文字数の問題もあるのはわかっているのですが……。


あとギリシャ神話知らんと理解のハードル高くない?というポイントもあり。「微笑んでいるヴィーナス、マルスは睨んでいるだけ」とか、ヴィーナスが愛の神でマルスが軍神って知らないとエミリアがどう説得してるのかわからなくて困ってたと思う。あと「ダイアナに生涯仕える」みたいなセリフもダイアナが処女と純潔の象徴なのを知らないと???となっていた気が。ラストシーンもか。一応アテナが叡智の女神であることはセリフで説明されていたけど知ってたがわかりやすい。オタクでよかった~って思いました。

 

全体的に思ってた数倍力業大団円だったし思ってた数倍登場人物のIQ低めで面白かった。
鎖がっちゃがっちゃする曲、ミュージックフェアできいててそんときからとんでもない曲だなと思ってたんですが、作中に入ってるとなおやばいですね……。「俺が先に見た!!!!」「関係ない、俺だってみた!!!!」じゃないんだよな。エミリア的にはお前らが関係ないんだよな。でもあいだにワンフレーズ入ったエミリアの「見られてる! 極悪人……どちらも見栄えがいい~」は笑ってしまった。それはそう。
たしかはじめてこの曲きいたとき同じ番組内でレミゼの曲の歌唱もあったから、第一印象が「ビジュアルは『対決』ぽいのにこんなにもノリが違う……」だった。しかも曲名「囚人の歌」なんですよね。ギャップ。
あと「宿敵がまたとない友」もたぶんFNSかなんかできいてて知ってた曲で、私この曲は一幕の二人が仲違いしたタイミングで歌われると思ってたんですが、タイミング的にこれも思ってたより頭悪い曲で笑った。二人がエミリアの前で「エミリア! 好きです! 俺たちは彼女をかけて決闘するんです!!」みたなシーンも勝手に盛り上がる男たちとあきれ返ってる女たちの温度差にめっちゃ声出して笑いそうだったんだけどあそこは笑っていいんか。二人が言い争ってるのの合間合間で「よくぞ言った!」とか「男の中の男!」みたいな合いの手入るのが笑いを誘う。

 

エミリアエミリアでいいのかそれで。
途中までしっかりしてたのに結局顔に屈しとるがな。


「狂ってる! 勘違い男」 そうだそうだ!
「賞品のように扱われるの?」 ウンウン嫌だよな
「アーサイトを愛してしまったの!」 噓でしょ!?!エミリア!?!?


ほんとにここ聞いたときずっこけそうになったのですが、まあ近くに堂本光一氏の顔面の男がいたら仕方ないか……。顔が好きだとどうにもならないもんね……わかるよ……。
あとエミリア的にはアーサイトよりもパラモンよりもなによりもフラヴィーナぽいので、フラヴィーナが生きて近くにいてくれるならそれでいいのかな……。このエミリア→フラヴィーナのクソデカ感情は全く知らなかったので一番のびっくりポイントかもしれない。
フラヴィーナも一目惚れのプロキメてて大丈夫かなあこの集団になりました。最終的に大丈夫になるのわかってたから安心して見れた。
あらゆる突っ込みどころを井上芳雄氏と堂本光一氏の顔面の良さで解決していく剛腕スタイル、嫌いじゃないです。
このごり押し解決スタイル、同じくシェイクスピア作品の『真夏の夜の夢』を彷彿とさせたのですが、この作品の原作は悲劇なのでたぶんあんまり関係ない。でも最後に神様でてきて何とかしてくのも似てるしなあ……ちょっとくらい意識してたりするのかな~……。
しんどい終わり方とかどうにもならん終わり方する作品も大好きなんですが、こういうきれいな大団円みると細かいことはいいんだよという気持ちになれるので好きです。元気が出る。

 

……ところで、さすがにパラモンは調子がよすぎないか。つい数分前までエミリアエミリアいってたじゃん。フラヴィーナやめときなよそんな男は幸せになれないよ。
無理やり理由つけるなら、フラヴィーナが逃がしてくれた時から心は惹かれていて、決闘の最中に目の前に現れたフラヴィーナをみて本当に自分が愛していた人に気づいた~エミリアのことは最初はほんとに好きだったけどだんだんアーサイトとの意地の張り合いになっててひけなくなった~……と考え無理やり飲み下せなくもない。けど絶対そこまで考えてないよあの男。俺のこと好きなの!?じゃあ俺も好き!!だよ。フラヴィーナがいいならいいんだけどさ……。

 

これは完全に事故なんですが、ちょくちょく出てくる七・五調に黑世界の「求めろ捧げろ待っていろ」を思い出してしまって全く笑うシーンじゃないのに笑いそうになってた。

 

耳に残るキャッチーな楽器が多かったのも楽しかったところ。エミリアとフラヴィーナのデュエットと一幕のアーサイトのソロナンバーが好きです!
アーサイトのソロナンバー、アップテンポで楽しい。本人のテンションもぶち上がってて愉快だしコーラスが女性アンサンブルなのもいい。あと、あの曲調がすごく堂本光一氏の声質にあっているように感じた。

あと音月の桂ちゃん!!!高音がすごく綺麗に出ていて……フランケン映像で拝見した時も思ったけど数年前からパワーアップが凄い……素晴らしかった……。
オケピの他にセット裏にバンドがあったのも好きポイントでした〜!

 

兎角観終わった後「楽しかったなー!」の気持ちでいっぱいになるのがいい。
フォーミーノットフォーミーでいったらだいぶフォーミーよりの作品なのに誘ってもらわなかったらたぶんみていなかったので舞台はつくづくご縁ですね……。みれてよかった。

それから個人的な話ですが、しばらく博多座から離れることになるのでとても寂しい。大学に入って一番最初に博多座でみたのが『グレート・ギャツビー』だったから、同じくよしおさんに縁のある演目で一区切りついたのもご縁だなと思いました。うーんでも寂しい……。本当にたくさんお世話になった劇場です。絶対にまた来る。