LDH微塵も知らなくてもETERNALⅡは楽しいし最高

舞台ETERNALⅡ千秋楽おめでとうございます! このご時世に一公演も欠けず完走できたのほんとうにめでたい~!!
最近とにかく手持ちの公演が中止になってばっかりだった。行こうと思った公演がチケット取った次の日に中止になったり、4月からずっっっと楽しみにしてたキャッツが中止になっちゃって、代わりに人間になりたがった猫のチケット取ったら、それもまた中止になっちゃったり。そんな私のあまりの落ち込みようをみかねたRAMPAGEさん好きな友人がETERNALⅡに誘ってくれた。

優しい。

観劇した回が丁度人猫が流れた日だったので、キャッツと人猫がだめになってしまった日に有明四季劇場の真横でやってる公演に行くことになったの面白い縁だな~なんて思いました。発着音のCOLとハクナマタタ聞けて嬉しかった。
RAMPAGEさんのメンバーは天使についての配信で拝見していたRIKUさんしか存じ上げず、他のプリンだと福澤侑さんを唯一知っている状態での観劇でした。アンサンブルには何名か別演目で拝見したことがある方がいらした。2.5でここまで演者わからないの珍しいので結構新鮮。*1

以下一度しか観てない人間の感想なので諸々ご容赦ください。

 

事前知識があんまりなくても面白く纏まってたしかなり楽しかったのですごい。

演目自体は一作目を無料配信期間に拝見しているのだけど、色々時期が忙しかったので大慌てでみてあんまり仔細なところまで覚えてなかった。それでも特に問題なく楽しめたので助かりました。テーマが結構わかりやすくて、コレ多分Ⅱからみた人でもおいていかれずに楽しめたんじゃないかな。意図的に話のつくりをシンプルにわかりやすくしているのを感じた。シリーズものは続編ってだけで観劇のハードルがあがりがちだから、そこが気にならないのはめっちゃいいなって思いました。
舞台パートだけだと1時間30分くらい? かなり短いのにそれぞれ見せ場があって、歌もダンスも殺陣もあって、話もしっかり面白いの、作品としての仕上がりがすごい。本当にすごい。演者の強みであるダンスも歌もみれるし、脚本も面白いし。場転の仕方とかの演出がちょいちょい好みじゃないなって思うところはあったんだけど、個人的な好みの範疇に収まる部分だしなにより本当に本が良い。葛木せんせえ~~~~!!!(良脚本に出会うとすぐ脚本家にうちわを振るおたくの図)
今回は異種族であるオルドとどう共存していくか、そもそも共存は可能なのか、といったところが軸になっていた。登場するのがオルドと人間のミックス。彼らはミックスだけれど自分たちは「オルドである」としてオルド軍として戦っている……んだけど、これ、多分オルドと人間両方から快く思われていないパターンだろうなとおもったら案の定だったので悲しくなった。TRUMPシリーズで培った知識、生きなくていい。

 

ミックスであるニクラス隊と誓約団のあいだに戦闘を通してすこしずつ関係値が築かれていく様子がみていてとても好きだった。とくにジーンとコニーがよかった。前作からジーンがすきで彼に注目して観ていたのもあると思うんだけど、彼らが命のやり取りのなかでお互いをみて、考えているのが好きだったんだよね。コニーの眼の前でジーンが身を挺してクロエを庇った姿をみて、この優しさを持っている人になら自分の友達を任せても良いと思ったからコニーはジーンにねずみを預けたわけで。あの場面が本当に本当に好き。コニーがジーンのことを単に「敵」としてみないで、でジーンの為人をしっかりみて、こういう選択をしたんだろうなと思って。そのコニーの気持ちをジーンがきちんと受け取っているのも良い。
考える、考え始めるというのが今回の話の肝だったように思った。ジーンが「食べて眠れたら良い」と思っていたのが、それだけじゃだめだって思い始めたのもそうで。ただレンブラントを盲信するのではなくて彼なりに考えてリーフェンの方が王に相応しいと感じたときはそう言えるところに彼の成長を感じて良かった。

 

あとさあ……イムランはおたくの好きな要素集めすぎ。あんなん好きにならん方が無理。抗えない。ダンスもめちゃめちゃ素敵だしお衣装は優勝しているしまずもって傭兵だから誓約団ともニクラス隊とも別動できるのがおいしいし……。セリフが少ないのが得体が知れなくて良いし、いざ喋ったら言葉少なでも耳に残る発声をしていて好きだったし、やや猫背気味なのは立ち姿だけで腹に一物あるのがわかる。全要素好きで困る。彼自身の出自や人間性についてもはっきりスポットがあたって深く描かれるといったことはなかったのだけど、言葉の端々からどういうパーソナリティなのかがわかるような描かれ方をしていた。そもそも、作中で人間とオルド両方の血を引くニクラス隊の彼らに「ミックス」という言葉を使っているあたり脚本の信頼度が高いし、そのうえであえてイムランに「混血」ってセリフを言わせていたりするところとかうまいなって思う。レンブラントが闘技場でオルドと共存したいといったときに軽薄な笑みを浮かべるところも好き。銃の登場タイミングもずるかった(戦況的にみてもずるい)。あんな狙いやすいところからぶっ放すのさすがに戦況に対して有利すぎる。あとイムランの身のこなしの軽やかさに惹かれていたから、最期に力技で高所から引きずり下ろされて命を落としたのは興奮してしまった。構図がよかった。ひとり高いところから見下ろしているつもりだった人間が無理やり下に連れてこられてたのが……。
あとはなんといっても殺陣。他の陣営と違って「殺すこと」そのものが目的になっている動きをしていて最高だった。動きが軽い。他の演者さんの殺陣が全体的にかなりゆっくりめで個人的には少し物足りないなと思っていたので、イムランの殺陣が始まったときに自分でもびっくりするほどテンション上がってしまった。あとガッファーの殺陣もRAMPAGEさん所属の出演者のなかだと安定していて、「他教徒を殺せば殺すほど神に近づくことができる」っていうファルサリアの設定に説得力がでていてよかった。
ただ殺陣が遅くみえたのはどう考えても基準が西田舞台になっちゃってる私が悪い。今回のゆっくりめの殺陣をみて友人が「武器本来の重たさを感じられてよかった」と言ってて、なるほどね~~~!!!!と思った。目から鱗
イムランとガッファーについては、語られない関係がエモいなって思いつつもやっぱりもっとみたかったなって思ったり。多分次回作があればファルサリアの掘り下げはそこでやると思うんだけど、そこでイムランのことに少しでも触れられたら嬉しいな。
こんなにイムランのこと好きなのにグッズもなければプリンのなかで唯一死んだの、かなしい。なぜならLDHじゃないから……。えーん。諸般の事情とはいえ回復アイテムがあるのにLDH所属じゃない男は容赦なく命を落としていくのはちょっとおもしろい。

尺の問題でキャラクターひとりひとりに時間を割いての深掘りをするのが難しかったのだと思うけど、それでも各所で盛り込まれた会話や芝居でしっかりキャラクターの関係性や変化を描いてくれているのが脚本の巧みさを感じる。描くところと描かないところの塩梅がうまいというか。キャラクターのすべてを知ることはできなくてもその余白が楽しいというか。葛木せんせい、、、。

 

RAMPAGEさんのメンバーで唯一知っているのが天使に出演していたRIKUさんだったので自然と印象に残っている。相変わらず声量おばけ。主演で出ずっぱであれだけ殺陣もしているのに後半にいくにつれてむしろ声が大きくなっていくのはどうして。本業ミュージカル俳優の方ではないんですよね? もっといろんな演目に出てほしい。
天使のジャコモも今回のレンブラントも役が御本人の声質やお芝居の方向にかなりあっていて、役の魅力が増してるのが良いなと思って。ジャコモのときはジャコモが実は少女だったって言われても納得してしまう説得力があったし、レンブラントも彼の愚直さを美徳だと思わせる力があったのがよかった。レンブラントって過去の経験の割に物事を綺麗に捉えるな~と思っていて。今回だと、ミックスの彼らについては登場した時点で観客の私ですら出自が望まれたものではないのだろうと察しがついた。だからレンブラントが「オルドと人間も愛し合える。ミックスがいることがその証拠」って言ったとき随分安直だなって思ったの。少なくともオルドとして人間と闘っている彼らがそんなはずはないから。王になろうとしている人にしては世界が綺麗に見えすぎているなって。でも同時に彼の世界を良く見ようとするところは、愚かだけど、それが彼のいいところであるしレンブラントに人がついてくる所以だとも感じた。そう思わせるだけのお芝居だったと思う。天使にしろ今回にしろ、自分の事務所の舞台なのである程度はこの人ならこの役にあうだろうなと思って役を当てられているところがあると思うんだけど、それでも役に深みをもたせてくれるお芝居が好きです。

 

ちょっと劇場と音響の話。
東京ガーデンシアター今回はじめての箱でした。なんか、芝居をやる箱ではないね。客席の幅がひろすぎない? 左右に設置してあるモニターに公演中映像が映るの、最初は気が散って仕方がなかったんだけど客席の構造上見切れが出る席が多すぎるので仕方ないのかも。あと乱戦になることが多くて、私のような推しがいない人間はどこをみていいのか迷子になりそうなときに「ここだよ~!ここをみるんだよ~~!!」って教えてくれるのは意外と助かった。客層的に舞台見慣れてる人以外も来るだろうし。……いやでも、芝居観に来てるのにモニター眺めるのはわりと虚無では。銀劇とかでみたかったな。
あとね~……音響……本当にもったいない……。せっかく作品がいいのに舞台パートの音響が結構な頻度で死ぬのはほんとうにほんとうにもったいない。天使のときのブログでも散々音響に文句いってしまったので申し訳なさはあるんだけどでももったいないよ~……。今回はネルケ入ってるからまた別問題なんだよね。でもLDHの舞台2回中2回音響死んでたのであまり良い印象を持てない。自由劇場の音響殺されたのずっと引きずってしまう……。音響頑張ってほしい……。
作品としてはめちゃめちゃ楽しかったから色々、もったいないと思ってしまう。

 

舞台パートの話しかしてないけどライブパートも楽しかったです! 普段マジで全然アーティストのライブとかにいかない人間だから空気感が新鮮だったし舞台みたあと演者さんの本業もみれるのお得だなって思った! 願わくは福澤侑さんも出てほしかった!!!(無茶を言うな)
中止ラッシュでへこんでいるなかでこんなに楽しい舞台を観られたことが幸せで嬉しかったし、誘ってくれた友人にとっても感謝です。

*1:無論テニスは例外である