ジャック・ザ・リッパーのはなし

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観たのは先月半ばの9/18で、感想書きたいなって思ってたんですが気づいたら一か月半もたってしまった。今年の観劇まとめ記事に入れ込んでもいいかなと思ったけど折角配信あるから配信終了までには間に合わせたい~~~と思ってバタバタ書き始めました。

情報が出たときの最初の感想は和樹さんまた二役やってる……でしたね……。でもチェコ初演の韓国ミュージカルで、モチーフも好きそうなやつだったので凄い楽しみにしてた演目ではあった。
その割には歌唱披露もあらすじもみずに挑んだんだけれども。幕が開いてから時系列が前後するで話が分かりづらいという話をちょくちょく聞いていたので迷ったけど、結局何も知らないままぶつかることにしました。
ちなみにはじめての日生GC席。思ったより近いし評判の通りすごい見やすくてよかった。また座りたい〜。

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みたのはAチームとBチーム。

 

作品全体について!


セットがすごい良かった……!劇場入った瞬間テンションあがりました。
濡れて光っている雨のロンドンの石畳がありありと目に浮かぶ素敵なセットでした。それから、あのアシンメトリーな感じも好き。下手奥からジャックが登場するときとか逆光になってて怪しげ凄い良かった。

ストーリーというか、展開がとにかく怒涛なのがうーん韓国ミュージカルだな~と思った。一幕がほとんど回想シーンで終わるし次々シーンが変わるので、情報についていくので精一杯で一幕はあんまり物語に集中できなかったように思います。一幕、もっと盛り上がりたいところ(ジャックが撃たれるところとか)もさらっと流れて次のシーンに行くので気持ちが置いていかれてしまう。

あとキャラクターのバックボーンがあまり語られないのはあえてなのかな。モンローがどうしてあんなに異常なまでお金に執着するのかとか、ダニエルと再会したグロリアがあっさりダニエルと同棲を始めた経緯とか、あとみんながもっと知りたいポリーとアンダーソンのこととか!!!もっと語ってくれよ!!!私たちの想像にお任せされるのも燃えるけど~~~!

そもそもジャックがどうして人を殺してたのかとか結局あれでほんとに死んでいたのかとかも気になったけど、そこはジャックの存在の偶像具合が上がっていいのかなと思ったり……?うーんでももう少ししっかり「ジャック」を描いてほしかった気持ちもあります。どうしてグロリアを直接殺すんじゃなくて家に火をつけるだけにとどめたのかとかは引っかかったところ。
初見だと公演を観ながらキャラクターに寄り添うにはちょっと情報が少ないかなと言う印象。ハマらなかったところを挙げようとすると結構あげられてしまうし、あまり声を大にしてみんなに「みて!」って言える演目ではないんだけど個人的には結構好きだった。あとから反芻したり2回目以降で気付くポイントが多かったりしてハマっていく部分が大きかったかも。スルメタイプの演目。
多分あと何回かみたら結構ハマってたと思うんだけどそれがなかなか難しいご時世だなとも思う……。難しい……。

 

最初にきいてた時系列がごちゃごちゃしてるからわかりにくいっていうのは結構全然大丈夫だった!もしかしたら西田大輔に鍛えられていたおかげかもしれない。というか、その時間軸がどんどん嵌まっていくのが一番面白かったポイントかも。

前半でみたシーンにどんどん追いついていくのがパズルがはまっていくみたいで楽しかった。二度目の「僕は犯人、知っています~」のところとかお~~!!!ってなりました。でも時間軸がわかれているのかそうじゃないのかわからないところもあったので全部は拾い切れていな気がする。二幕の「灰色の都市」(カテコで歌ってたアンダーソンソロ)のところのかも一幕冒頭とは時間軸が違うと思うんだけどどうなんだろうか……。

あとは、アンダーソンもダニエルも二人とも信頼のできない語り手なので物語はどうとも取れるなと思ったり。

観終わった後の印象はうわ~ひどい話だなガハハって感じでした!!あまり引き摺らない方のひでぇ話。結構(勢いでゴリ押ししているあたりが)フランケンと似てるな~って思うんだけど、フランケンに比べて要素が散らばってる感じはする。フランケンはビクターとアンリの関係に絞ってスポット当たるところがハッキリしてるのに比べてかなりぎゅうぎゅうに詰められている印象。
あと最後、宝塚みたなフィナーレあったのは面白かったwwwしっとり終わったあとにあれがあるから情緒~~!!になったけど面白いし楽しいのでヨシ!!!


以下キャラごとで書き残したいとこだけ!

 


ダニエル

臓器好きすぎ。何回臓器っていうんだよ。その割には取り出した臓器を新聞で包んでるのでダメだなと思う。せっかく手に入れたのにダメになっちゃうよ〜。
手に入れた臓器はグロリアにすぐ移植しなかったのかな?結局肝心のそこがわからない。

この手の男の言う「身分なんて関係ない!二人で幸せになろう!」は絶対にロクなことにならんだろうなと思っていたら案の定でした。
木村ダニエルはもともとややヤバい奴っぽさがあった。グロリアの件がなくても何かしでかしていたような気がする。しゃべる言葉の端々に「臓器オタク」っぽさが滲み出ていて面白かったです。グロリアのためというお題目のもとだんだん臓器を手にすることの方が目的になってたんじゃないか?と思わせるお芝居。
対してグロリアに出会っておバカになって頭のネジどっかとれちゃった感のある小野ダニエル。兎角全部浮かれポンチでみていて愉快。撃たれてからもグロリアに這い寄ろうとしてたのがめっちゃ好きだった!(達成ダニエルもしてたらごめんなさいAチームはここアンダーソンしかみてなかった)


アンダーソン

主役じゃないんですか!?!?
かっこよかった〜やさぐれ薬中刑事。ポリーにお花を渡すシーンはもっとしっかりせえ!!!!!と思ったけど。あそこで流されたらだめでしょ……ちゃんと作戦伝えろ〜〜!!!誰かアンダーソンに「これが終わったら」はフラグだって教えてあげてください。
曲は灰色の都市がめちゃ好き!!!アップダウンが激しくて聴いていて気持ちいいし事件解決を改めて誓うシーンでの曲だからテンションも上がる。
薬中だしモンローと金のための取引に乗ってしまうし、クソ男ではあるんだけどクソ野郎〜〜!!片付けられない魅力がある。
和樹アンダーソン凄い凄いよかった………。和樹アンダーソンをみれただけでこの演目に行った価値があった。多分元々真面目な刑事だったんだと思うんですよ。ポリーと別れてからあんなんになっちゃったのかなそれとも他に理由があるのかな。
二幕のポリーにお花を渡す(渡してしまう)シーン のところ、髪に薔薇を刺すポリーを眺める横顔が切なすぎる……。あと、多分この辺だったと思うんですがポリーに顔が近づいた時にキスしようとして、できなくて、ってしていてうわぁ〜〜ってなりました(語彙)。なんか、そういうところだぞアンダーソン。ポリーとアンダーソンの関係がひたすらに切ない今作、舞台上で愛が報われない男こと和樹さんの演技が凄く光っていて役に深みが出ていて最高だった。役に感情を乗せるのがつくづく上手い……。
コカイン吸うところは「暗くなるまで待って」のロートがチラついてふふってなったよ。あと、幕が上がった時点で事件記録してるから「あっ今回は生き残るんだ〜」ってわかってるのに死ぬ?死なない?大丈夫?って心配になるレベルで死にそうだからびびった。
対する松下さん。松下アンダーソンの方が不良刑事感はあったような。和樹アンダーソンは根は真面目だったんだろな〜って感じで松下アンダーソンはそもそもの不良刑事って感じ。お声も凄く役にマッチしていて、正直アンダーソンとしう役としては松下さんのお芝居の方が好き。×ポリーでみせてくる芝居がずるいんだよな和樹アンダーソン……。常に憂いを背負って苦しんでいるのがお歌に乗っていて良かった(酷い感想)。特に「この街が嫌いだ」が好きです……。事件に対する葛藤とかもがいている感じが凄く伝わってきて……。一幕の踊る殺人鬼をみているときの表情とか、とても苦々しげで印象に残っています。松下さん映像では何度か拝見したことがあるものの直接見るのは今回が初めて〜だったんだけど、まさかまさかのTRUMPシリーズ次回作に来てくださることが決まったのでめっちゃ楽しみ!!!

ヴェラキッカキャスト発表で配信見てくれるフォロワーが増えたの流石に予想外で面白すぎたよ。

これは愉快なフォロワー

 


ジャック

出番こそ少ないものの美味しいソロを持っていく男。登場の仕方とか一部セリフがトートっぽいなって思ってたらだいたいそれであってたので笑った。

ダニエル「だれ?」
ジャック「友達 呼んでくれれば来てあげる」
ダニエル「本当?」
ジャック「必ず」

堂珍さんの歌が、いい意味で他の役者さんのミュージカル歌唱から「浮いて」いて、一人だけ別の場所にいる感じが最高に良かった。ジャックという別格の存在を表していて素晴らしかったです。歌声を聞くたびにゾワゾワする。
和樹さんは今回二役演じる上でミュージカル俳優としてのキャリアとアーティストとしてのキャリアを両方存分に生かしてらして、贅沢な演目だなと思いました。ジャックの方はどちらかというとミュージカルの時よりライブの時の歌い方に近かったように感じた。前述の通り物語から浮いた存在なので両ジャックとも歌声でそれが表現されていてどっちも好きでした!!それにしてもアンダーソンとジャックを両方やってた和樹さんは情緒どうなってるの。あとなんか和樹さんの方ヤバい振り付けなかった!?!?あれ和樹ジャックだけ!?ですよね!?びっくりしちゃったよ……。

 


モンロー

お前が一番ヤバい奴だよ。二重人格臓器オタクよりも薬中やさぐれ刑事よりも誰よりもヤバい奴だよ。
言動が散らかってて何がしたいんだよ!!!になるんだけどマア一貫して「金のため」に動いていたのでわかりやすいっちゃわかりやすい……のか?号外が出ちゃった時も直前のポリーとアンダーソンのやりとりで心がしょんぼりしていたので「あれだけ言ったのに」じゃね〜〜!!と思ってた。ヤバい状況でもダニエルに取引を持ちかけ直すのは本当に救えないというか、なんなんだこいつ……。作中まともなセリフが「人前で何してんだ!」(曖昧)(コカイン吸うアンダーソンに向けてのセリフ)しかなくない?
もう一枚……もう一枚だけ!!って言って爆発に巻き込まれるのはなんだかあまりにも「ご都合」というか、「いかにも」すぎてなんかな〜と思ってしまいました。
こういうテンション高くてかしましいまりおさんは新鮮だったので面白かった。アンダーソンの隣にいるうるさいマスコットみたいでしたね。あとタイプライター、背筋をピンと伸ばして打つから笑った。しかも舞台下手の方で。今年見たよそれ。
モンローのナンバーは汎用性が高くていいですね。これから運営が情禁渋ってる時とか円盤出して欲しい時は「特ダネだせ!!」って暴れていこうな。

 


ポリー

一番好き!!!!!幸せになって欲しかった……ポリー……。
史実の5人目の被害者、メアリー・ジェーン・ケリーがモデルなんですね。アンダーソンとのやりとりがとにかく切なくて、二度目はその後のことを知っているからよりつらかった。アンダーソンに呼び出されて「どういう風の吹き回し?」って呼びかけるシーン、言葉とは裏腹に嬉しそうなのが辛い。工場から出る灰を雪だわ!って喜ぶシーン、あんなに綺麗なのにどうして………。幸せになって欲しかったよ……。

 


グロリア

君も幸せになって欲しかったよ〜!!!アメリカに行って医者の妻やっててくれよ……。
二回目で一幕に歌で希望は絶望の種なの?違うわ〜みたいな歌詞歌ってるのに気付いた。そこからのあなたが与えた希望が絶望だった〜になるんですね。辛い。
ジャックを警察に売りさえしなければなあ〜〜とか思ってしまう……というかそもそもどうしてグロリアが案内人をしていたんだろ。
ダニエルがジャックの真似事をしているのに気付いていたし、少し賢い故にどんどん不幸になっていくのが悲しすぎる。最期自分の頭を躊躇いなく撃ち抜いていたのに、それほど追い詰められていたのがわかって苦しかった。

 

 

楽曲を思い出そうとするとあらゆるミュージカルの曲と混ざってうまくいかないが一部フレーズだけ歌える状態がここ数ヶ月続いている。今新しくオリジナルミュージカルを作ろうとするとどうしてもそうなるのかもしれないみたいな話をフォロワーさんとしました。
ホリプロちゃんは配信じゃなくてWOWOW放送か円盤出してほしいんだけどな〜〜!!マルチアングルは凄いけどさ!!映像あるのはわかってるんですよ!?特!ダネ!出せ〜!!!よろしくお願いします。